BMW調達担当取締役、VWグループの取締役に

独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は24日、23日の監査役会でBMWのマークス・デュースマン取締役(調達・サプライチェーン担当)がVWグループの取締役に就任する人事を決定したと発表した。すでに合意書に署名しており、VWグループへの転職が可能になり次第、デュースマン氏は業務を開始する、と説明している。

BMWの取締役がVWグループに移るのは今回が初めてではない。2018年4月にVWグループの新社長に就任したヘルベルト・ディース氏は、2014年12月にBMWの開発担当取締役を辞職し、2015年10月1日付けでフォルクスワーゲン(VW)乗用車ブランドのトップに就任した。1993~1999年までBMWの社長を務めたベルント・ピシェッツリーダー氏は、2002~2006年までVWの社長を務めている。

VWグループでは、ディーゼル車の排ガス不正に関する捜査で、傘下の高級車大手アウディのルーパルト・シュタートラー社長が6月にミュンヘン検察当局に身柄を拘束され、現在も勾留が続いている。このため、デュースマン氏がアウディの新社長に就任するとの憶測も浮上している。なお、dpa通信が消息筋から得た情報によると、アウディ社長就任は複数ある可能性のひとつにすぎないという。

デュースマン氏は、大学で機械工学を専攻し、メルセデスベンツでキャリアをスタートさせた。BMWには、2007年にBMWザウバーF1チーム(当時)のパワートレイン部門の責任者として入社した。その後、ドライビング・ダイナミクス分野の責任者に就き、開発部門でパワートレイン全般を統括していた。2016年10月から調達・サプライチェーン担当取締役を務めている。

VWへの転職では、デュースマン氏とBMWとの残りの契約期間や、競合他社に転職する際には一定期間を置くとする競合避止義務条項などを解決する必要があると見られている。アウディ社長に就任する場合には、シュタートラー氏の契約も関係してくる。

独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、VWグループでは、ディーゼル車の排ガス不正により、グループ会社で多くの開発担当取締役が辞職しており、デュースマン氏の専門知識を必要としているという。

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