ドイツ連邦議会の学術サービス(WD:Wissenschaftliche Dienst)はこのほど、欧州の自動車メーカーが将来、電動車を中心に中国で車両を開発・生産し、欧州に輸出するようになり、欧州自動車産業の雇用が脅かされる恐れがあるとの分析結果をまとめた。このような分析の背景には、欧州自動車メーカーの中国における投資が大幅に増えていることが背景にある。学術サービスは、分析や専門情報の提供を通して連邦議会議員を支援しており、今回の分析は緑の党の委託を受けて実施した。
学術サービスは、自動車メーカーの投資戦略などを分析し、新車開発資金の大部分が中国に投入されていると結論付けた。欧州の環境団体トランスポート&エンバイロメント(T&E)の調査によると、欧州の自動車メーカーの2017年の電動車の生産に関する投資額は、欧州における32億ユーロに対し、中国では217億ユーロとなり、7倍の開きがあった。自動車メーカーは欧州での投資も強化しているものの、中国における投資と比較すると大きな開きがある。
学術サービスは、電動車を欧州で生産せず、輸入するようになれば、2030年までに欧州の自動車製造業界における雇用の4分の1が危険にさらされる恐れがある、と分析している。