英政府が「合意なき離脱」対策第2弾公表、市民と企業に負担増を警告

英政府は13日、欧州連合(EU)離脱交渉が不調に終わり、通商協定などがまとまらないまま2019年3月の離脱期限を迎えた場合に備えた対策案の第2弾を公表した。実質的な交渉期限の10月が迫るなか、最悪のシナリオである「合意なき離脱」によって生じる事態を周知するのが狙いで、幅広い分野で市民や企業に新たな負担が生じる恐れがあると警告している。

8月下旬の第1弾に続いて公表された28項目から成る対策案によると、英国民が旅行などで大陸欧州に入る際は有効期限が6カ月以上のパスポートが必要で、運転する場合は国際免許証の取得が必要になる可能性がある。大陸欧州で携帯電話を使用する際、ローミング手数料が跳ね上がる可能性も指摘している。

一方、製造業者はEUが求める安全基準や環境基準に対応したうえで、国ごとに販売認可を得なければならない可能性がある。さらにEU加盟国との間で個人データの移転が困難になり、テロ対策に必要な犯罪歴や国境審査の記録などの情報を加盟国と共有できなくなるほか、大陸欧州の支店と顧客情報を共有するための手続きが煩雑になるといった事態を想定している。

ラーブEU離脱担当相は「EUとの交渉は進展しており、合意は可能だ」と強調。そのうえで「政府は離脱交渉の結果にかかわらず英国が繁栄を維持できるよう、合意がないまま離脱を迎えた場合のリスクを最小化するため、あらゆる事態を想定して必要な準備を進めている」と説明した。

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