英最大野党・労働党は9月25日の党大会で、英国と欧州連合(EU)の離脱協定が議会で否決された場合、離脱の可否を問う2度目の国民投票実施を求めることも辞さないとする決議案を採択した。同党ではコービン党首が国民投票の再実施に否定的な立場で、党内でも意見は分かれていたが、離脱反対派が多い党支持者の再投票実施を求める圧力が強まる中、その方向に傾いた。
労働党の「影の内閣」のEU離脱担当相であるスターマー氏は党大会の演説で、英政府が掲げる離脱後のEUとの関係に関する方針について、モノに限定した自由貿易圏を創出することを目指すなど、サービスも含めたEU単一市場へのアクセス維持を求める労働党の方針に反するとして、反対する意向を表明。難航しているEUと英国の離脱交渉が決着したとしても、合意が労働党の方針に反する内容であれば、英議会が離脱協定の可否をめぐる採決を行う際に反対に回るべきだと述べた。
その上でスターマー氏は、離脱協定が否決されれば総選挙を実施するべきだが、それが不可能ならEU離脱の可否を問う2度目の国民投票を実施する必要があると指摘。演説後に「総選挙が実施されない場合、国民投票の再実施を含むあらゆる選択肢を視野に入れる」とする決議案が採択された。
EUと英国の離脱交渉をめぐっては、メイ首相がEUとの協調を優先する「ソフト・ブレグジット(穏健離脱)」路線に舵を切ったことに与党・保守党内の強硬派議員が反発している。離脱交渉が妥結した場合、合意内容は英議会で承認される必要があるが、保守党は単独過半数を割り込んでおり、労働党の支持が得られず、一部の与党議員が離反すれば否決に追い込まれることになる。