米自動車大手のフォードは10日、欧州で大規模なリストラを実施する計画を発表した。人員削減の規模や工場の閉鎖の有無などはまだ確定していないが、フォードの欧州事業の責任者であるスティーブン・アームストロング副社長は「大きな規模」になる可能性があると示唆しており、メディアでは数千人の規模になる可能性もあると報じている。最終決定は、第2四半期から今年半ばになる見通し。
フォードは現在、欧州に従業員約5万3,000人を抱えており、うち、ドイツ法人のフォード・ヴェルケでは、ケルン、ザールルイ、アーヘンの3拠点に計約2万4,000人が勤務している。
フォードは昨年末に、フランスのボルドー工場で2019年8月に小型自動変速機の生産を終了すると発表している。今回の発表では、これに加え、ドイツやロシア、英国でのリストラ計画を明らかにした。
フォードによると、ドイツでは現在、ザールルイ工場におけるミニバン「Cマックス」と「グランドCマックス」の生産終了について交渉している。また、ロシア自動車大手のソラーズと同国に設立した合弁会社フォード・ソラーズについても様々なリストラの可能性を検討している。同合弁における具体策については第2四半期に最終決定する見通し。さらに、英国では、英国本部とロンドン東部のダントン・テクノロジー・センターにある金融子会社フォード・クレジット・ヨーロッパを1カ所に統合する計画。同計画の実施については、従業員側の合意と現地当局の認可が必要になる。
大規模なリストラは、フォードの欧州事業が赤字経営であることや、英国の欧州連合(EU)離脱などが背景にある。フォードは2014年にベルギーのゲンク工場を閉鎖しており、メディア報道では今回のリストラでも工場を閉鎖する可能性があると憶測されている。