中国のリチウムイオン電池大手コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジー・リミテッド(寧徳時代新能源科技、CATL)はドイツのエアフルトに建設するセル工場の生産能力を当初計画よりも大幅に拡大する可能性を検討しているもようだ。CATLの欧州事業責任者であるマティアス・ツェントグラフ氏がボーフムでこのほど開催された業界会議「カーシンポジウム」で独『ハンデルスブラット』紙に明らかにした。
ツェントグラフ氏によると、CATLはエアフルト工場の生産能力について、第1段階では14ギガワット時(Gwh)からスタートし、遅くとも2026年以降には3ケタ台のGwhに達する可能性があると予測している。欧州連合(EU)の2030年の排ガス規制案の内容が厳しいため、当初予想よりも電動車の需要が高まる可能性があると分析しているという。
EU加盟国と欧州議会は昨年12月17日、EU域内で販売される乗用車の二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに21年の目標と比べて37.5%削減する規制案の内容で基本合意した。小型商用車については30年までに21年比で31%の削減を義務付ける。新ルールは閣僚理事会と欧州議会の正式な承認を経て導入される。
『ハンデルスブラット』紙によると、CATLはこの一年で電池セルの生産規模を約12 Gwhから約25Gwhへと2倍に拡大した。ツェントグラフ氏によると、同社の世界全体の生産規模は2020年に100 Gwhに達する計画。
ツェントグラフ氏によると、CATLはすでに、欧州で2カ所目の生産拠点の建設も視野に入れている。エアフルト工場の拡張を検討する一方で、同工場だけでは生産能力が十分でない場合に備え、2カ所目の工場を建設する可能性も念頭に置いているという。ただ、具体的な計画は出来ておらず、まずはエアフルト工場の建設に注力する、とコメントした。
エアフルト工場は今春に鍬入れ式を行う予定で、2021年に生産を開始する見通し。同工場は、高速道路4号線と71号線が交差する工業地域フランクフルタークロイツにある70ヘクタールの敷地に建設する。