バッテリー生産で独仏コンソーシアム、両国政府が助成申請

独仏両国の経済相はこのほど、両国企業によるバッテリー生産のコンソーシアムに対する助成を欧州連合(EU)の欧州委員会に申請したもようだ。4月30日発行の独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ』によると、ドイツのペーター・アルトマイヤー経済相とフランスのブリュノ・ル・メール経済相は4月15日、当該プロジェクトに関する趣意書(Letter of Intent)を欧州委員会に提出した。なお、独仏両国の経済相は5月2日にパリで会談を予定している。

同紙によると、コンソーシアムは、仏自動車大手のPSAおよびPSAの独子会社であるオペル、仏石油大手トタル・グループ傘下のバッテリーメーカーであるサフトで構成されており、フランスとドイツでバッテリーを生産する計画。

両国の趣意書では、支援規模や具体的な生産拠点には言及していないもようだが、同紙によると、業界では、ドイツのカイザースラウテルンにあるオペルの部品工場が拠点の一つとして有力視されている。カイザースラウテルンは、ドイツとフランスの国境に近く、バッテリーをオペル工場とPSA工場のいずれにも供給しやすい利点がある。

■ 汎欧州企業連合、欧州の電池産業育成で協力

4月30日には、欧州委員会のマロシュ・シェフチョビッチ副委員長の招待により、EU加盟国と欧州委員会との「汎欧州企業連合(European Battery Alliance)」の会議がブリュッセルで行われた。

電気自動車(EV)用電池の分野では日韓中メーカーの競争力が高く、欧州の自動車メーカーはアジア企業から調達している。しかし、EVの普及が拡大する中で、電池をアジア勢に依存することは、欧州メーカーの競争力低下につながる。EUの欧州委員会はこうした事情を踏まえて、EV用電池を欧州企業が手を組んで生産する「汎欧州企業連合」構想を打ち出した。

ドイツ政府はすでに、10億ユーロを投じて欧州企業による電池セルの生産を支援する計画を発表している。『フランクフルターアルゲマイネ』紙によると、3月半ばまでに、6コンソーシアム(30社以上)が助成対象となるプロジェクトを提出した。フランス政府も同分野に7億ユーロの投資を表明している。

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