欧州委員会のマルムストローム委員(通商担当)は17日、トランプ米大統領が輸入自動車への追加関税の判断を180日先送りすると発表したことを受け、米国との間で「自動車を含む貿易交渉の準備はできている」とツイッターに投稿した。同委員は週内にパリで米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と会談し、米国が検討している輸入車と同部品への追加関税について協議する方針を示している。
トランプ氏が自動車関税についての判断期限を延期したことで、EU内では少なくとも当面は貿易摩擦の激化を回避できるといった楽観論も聞かれるが、その間に交渉が進展しなければ米側は追加関税を発動する構えをみせている。「自動車の輸入が米国の安全保障を脅かしている」とのトランプ氏の主張に対し、マルムストローム氏は「欧州からの自動車輸出が米国の脅威になっているとの考えを完全に否定する」と反論。米国がEUと日本に対米輸出を制限する「数量規制」を要求するとの報道に関連して、「世界貿易機関(WTO)のルールに反する行動はとらない」とけん制した。
EUと米国は昨年7月の首脳会議で、自動車を除く工業製品の関税撤廃に向けて交渉を開始し、その間は米国がEUからの輸入自動車に対する追加関税の発動を見合わせることで合意した。EU加盟国は先月、対米通商交渉の開始に向け、欧州委員会に交渉権限を付与することで合意した。ただし、農産品は対象から除外されており、農業分野も含めた包括的な協議を求める米国との交渉は難航が予想される。