ドイツのアーニャ・カルリツェク連邦研究教育相は5月17日、量子通信に関する新しいイニシアチブ「QuNET」を立ち上げると発表した。産学連携のプロジェクトで、期間は7年(計3フェーズで構成)。2019年秋に公式にスタートする予定。
量子通信は、量子力学の原理を利用した通信技術で、ハッキングや盗聴が不可能な極めて安全性の高い技術とされている。ドイツ政府は同イニチアチブを通してまずは、政府組織間の通信ネットワークを構築する計画。将来的には、連邦政府向けの通信ネットワークをモデルとして国内インフラを整備し、さらに、欧州レベルでも量子通信ネットワークを構築することを視野に入れている。
ドイツ連邦研究教育省(BMBF)は、当該プロジェクトに7年間で1億6,500万ユーロを投資する。うち、ハードウエア部品の開発を計画する第1フェーズ(2年間)には約2,500万ユーロを支援する。
同イニシアチブでは、マックスプランク量子光学研究所(エアランゲン)、フラウンホーファー・応用光学・精密機械工学研究所(IOF、イエナ)、フラウンホーファー・ハインリッヒ・ヘルツ通信技術研究所(HHI、ベルリン)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)が協力する。また、産業界からは、ドイツテレコム、ADVAオプティカル・ネットワーキングなど、通信・通信設備、セキュリティ、衛星通信などの分野の企業が参加する。