独自動車部品大手のボッシュは9日、車載電池の性能改善や寿命の長期化に寄与するクラウドサービス「バッテリー・イン・ザ・クラウド」を開発したと発表した。同システムは、車載電池の状態を常に管理して、劣化を防止したり、電池に不具合があるとディスプレーに表示してドライバーに知らせたりすることができる。最初の顧客として、中国の配車アプリ大手滴滴出行(ディティチューシン)がすでに、同システムの利用を決めている。
リチウムイオン電池は、充放電を頻繁に繰り返したり、スポーツカーのような運転をしたりすると劣化が早まるほか、気温が高すぎたり低すぎたりしても電池にとってストレスとなり、寿命が短くなる。
例えば、気温が高すぎたり低すぎたりする環境では、充電量が満タン状態の電池は劣化しやすく、充電量がやや減っている状態の電池の方が劣化しにくいことが分かっている。このため、ボッシュのクラウドシステムでは、気温に応じて充電量が100%になる前に充電を停止することができる。また、バッテリーに不具合が見つかると、ドライバーや事業者に知らせる。早期に不具合が見つかれば修理して引き続き使用することも可能だが、破損の程度が大きいと電池が使えなくなってしまうリスクが高まる。
ボッシュが開発したシステムは、クラウドシステムに接続している車両の充電状況や走行状態、気温などの情報を収集し、機械学習アルゴリズムによりリアルタイムで情報を分析し、電池の残りの寿命や性能を予測することができる。クラウドサービスに集まる情報量が増えるほど、電池のストレス要因をより早く認識できるようになる。