英携帯電話サービス大手のボーダフォンは7月26日、欧州の基地局事業を分離・独立させ、将来的に一部株式の上場を目指す方針を発表した。次世代移動通信システム「5G」の商用サービスが本格化するのに備え、設備投資などでおよそ270億ユーロに膨らんだ負債を削減すると共に、競合他社と基地局の相互利用を進めて経営の効率化を図る。
発表によると、本体から切り離す基地局部門は英国、ドイツ、イタリア、スペインなど欧州10カ国で計6万1,700のアンテナや電波塔などを保有している。2020年5月までに新会社の事業を開始する計画で、売上高は年16億ユーロ、税引き前利益は9億ユーロに達する見通し。
ボーダフォンはこれまでに英国でテレフォニカ傘下のO2、スペインでオレンジと基地局や通信網を共有しており、26日には新たにテレコムイタリア傘下のInwitと基地局の相互利用に関する契約を結んだ。ボーダフォンは5Gサービスに関連した設備投資などのコストを削減するため、他の市場でも通信設備の相互利用を進めていく考えを示している。