独フォルクスワーゲン(VW)・グループ傘下の独高級車大手アウディは15日、マークス・デュースマン氏(50)が2020年4月1日からアウディの新社長(CEO)に就任すると発表した。現行のブラム・ショット社長(58)はアウディを退職する。デュースマン氏は、VWグループに転職する前は、アウディの競合であるBMWで調達・サプライチェーン担当取締役を務めていた。
アウディの監査役会長であるVWのヘルベルト・ディース社長は今回の社長交代の発表に際し、「マークス・デュースマンは優秀なエンジニアとしてアウディブランドの大きな潜在性を引き上げ、『技術を通した躍進』という約束を改めて強化・証明することに全力を注ぐだろう」とコメントした。アウディの新社長として今後は、持続可能なモビリティ(移動)の提供企業への転換や、徹底した脱炭素化への取り組みなどが課題となる。
また、ディース監査役会長は、ショット現社長に対し、困難な時にトップを引き受け、事業や重要な改革を指揮したことに感謝の意を示した。ショット現社長は、ドイツの検察当局が2018年6月18日にVWグループによるディーゼル車の排ガス不正に関する捜査でアウディのルーパルト・シュタートラー前社長を勾留したことを受け、同年6月19日にアウディの暫定社長に就任し、2019年1日から正式に社長を務めていた。
デュースマン氏は、大学で機械工学を専攻し、メルセデスベンツでキャリアをスタートさせた。BMWには、2007年にBMWザウバーF1チーム(当時)のパワートレイン部門の責任者として入社。2016年10月から調達・サプライチェーン担当取締役を務めていた。
なお、VWのディース社長もBMWの取締役を務めた経歴を持つ。ディース社長は、2014年12月にBMWの開発担当取締役を辞職し、2015年10月1日付けでフォルクスワーゲン(VW)の乗用車ブランドのトップに就任した。