独自動車大手のBMWグループは21日、バッテリーセルの調達規模を合計で100億ユーロ超に拡大したと発表した。中国のリチウムイオン電池大手コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジー・リミテッド(寧徳時代新能源科技、CATL)および韓国のサムスン電子の子会社であるサムスンSDIの2社から調達する。これにより長期的なバッテリーセルの調達を確保した。
BMWグループは2018年半ばにCATLから40億ユーロの電池セルを調達すると発表した。今回はこれを73億ユーロ(契約期間:2020年~2031年)に引き上げた。内訳は、BMWグループが45億ユーロ、BMWと中国の華晨中国汽車(Brilliance)との合弁会社BMWブリリアンス・オートモーティブ(BBA)の瀋陽工場が28億ユーロとなっている。
サムスンSDIとは、29億ユーロ(契約期間:2021年~2031年)の契約を締結した。
BMWグループは現在、ドイツのディンゴルフィング工場、米国のスパータンバーグ工場、中国のBMWブリリアンス・オートモーティブ(BBA)の3拠点でバッテリーを生産している。このほか、タイでは独自動車部品メーカーのドレクスルマイアーと協力し、バッテリーを現地生産している。
BMWグループは人権保護と環境基準を順守するため、電池セルの主要材料のうち、コバルトはオーストラリアとモロッコの鉱山から購入し、CATLとサムスンSDIに供給する体制をとる。リチウムに関しても、主にオーストラリアから直接調達する。なお、2021年から搭載する第5世代の電気駆動システム以降は、希土類(レアアース)を全く使用しないとしている。
また、BMWグループのバッテリー研究開発はミュンヘンで行っており、11月14日にはミュンヘンにバッテリーセルのコンピテンスセンターを開設した。投資規模は2億ユーロで、従業員数は最大200人となる予定。
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電動車のラインアップ、2023年には25モデルへ
BMWグループは2023年に電動車のラインアップを25モデルとする計画。25モデルのうち半数以上は純粋な電気自動車とする。
BMWグループは2019年末までに電動車(純粋な電気自動車またはプラグインハイブリッド車)の累計販売で50万台を目指している。
また、2021年の電動車の販売台数を2019年比で2倍とする目標を掲げる。欧州では、新車販売に占める電動車の割合が2021年は4分の1(25%)、2025年は3分の1、2030年には2分の1(50%)に達すると見込んでいる。
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BMWグループの電気自動車、2年以内に5モデルに拡大
BMWグループは、純粋な電気自動車のラインアップを2021年までに計5モデルに拡大する計画。すでに販売しているBMW「i3」に加え、2019年内には英オクスフォード工場でMINIの電気自動車の生産を開始する。2020年には中国の瀋陽工場でBMW「iX3」、2021年にはドイツのディンゴルフィング工場で「iネクスト」、ミュンヘン工場ではBMW「i4」の生産を開始する計画。