アルトマイヤー連邦経済相、「国家産業戦略2030」の最終版を発表

ドイツのペーター・アルトマイヤー連邦経済相は11月29日、最終版となる「国家産業戦略2030」を発表した。同経済相は今年2月、ドイツおよび欧州における産業政策についての議論のたたき台となる「国家産業戦略2030」の素案を発表し、その後、経済界や労働組合、政界などと議論の場を設けてきた。

同戦略は、ドイツおよび欧州における産業の競争力強化を目指すもので、社会的市場経済を理念としている。アルトマイヤー連邦経済相は、産業における競争力の強化により、欧州における豊かさや自由、社会モデルを維持できるとの見解を示す。

同戦略は2030年までの中期的な産業戦略であり、具体的には、◇産業を強化するための枠組み条件の改善(税制など)◇イノベーション力の強化・新技術の実用化◇ドイツ産業の競争力強化とドイツの技術的主権の保護の連携――の3つを柱としている。

アルトマイヤー連邦経済相によると、枠組み条件に関しては、産業拠点の条件の分析に関する調査をすでに委託しており、今後の政策に生かしていく意向を示している。技術的主権の保護に関しては、対外経済法(AWG)を欧州連合(EU)の規制(対内直接投資の審査に関するスクリーニング規制)に合わせて改定するとともに、国外投資家によるドイツ企業への出資の審査基準をより具体化するなど、見直す方針を示している。

独経済紙『ハンデルスブラット』が入手した、対外経済法(AWG)の改正に関する連邦経済産業省(BMWi)の内部資料によると、同省は国外投資家によるドイツ企業への出資審査において、保護の対象となる業界・技術を拡大する方針。具体的には、人工知能、ロボット工学、半導体、バイオテクノロジー、量子技術が含まれていると報じている。

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