独中堅部品メーカーのモルは3月30日、コーブルクの地方裁判所に会社更生手続きの開始を申請したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による、経済環境の悪化および自動車業界における全般的な生産休止を受け、長期的な資金確保が困難と判断した。同社は1945年の創業で、自動車用を中心にさまざまな用途向けの電池を生産している。なお、会社更生手続きを進める中、自動車業界の生産休止が終了すれば、同社も生産を再開する方針を示している。
同社は、自動車向けでは例えば、アイドリングストップ機能(スタート・ストップ機能)用のバッテリーを供給している。大口顧客はフォルクスワーゲン(VW)グループで、VW傘下のブランドであるシュコダやセアト、VW、アウディ、ポルシェなどに製品を供給している。本社のあるバート・シュタッフェルシュタインには従業員約300人が勤務している。
同社は会社更生手続きの申請について、顧客の自動車生産が再開した後も、年初の水準に回復するまでには何カ月、あるいは、数年もかかる可能性がある中で、長期的な資金確保が困難と判断した、と説明している。同社は、生産能力の増強や将来に向けたリチウムイオン電池事業への投資などにより、手元資金が枯渇していた。