独ティッセンクルップ、事業再編計画発表

独複合企業のティッセンクルップは18日、事業再編計画を発表した。鉄鋼事業や造船事業で提携・分離の可能性を模索する一方、素材事業、ベアリングなどの産業部品事業、自動車部品事業は引き続き堅持する。提携・分離を計画する事業の売上高は合わせて約60億ユーロ、従業員数は約2万人となる。マルティナ・メルツ社長は今回の決定について、「ティッセンクルップは小さくなるが、事業再編を通してより強くなる」とコメントしている。

鉄鋼事業と造船事業では、自力による利益率の改善に努めると同時に、他社との提携や経営統合の可能性を模索する。自動車部品事業は今後も保持するが、アライアンスや開発提携など、部分的に協力関係を構築していく意向を示している。

鉄鋼事業はコロナ禍による需要減少を受け、供給過剰の市場状況がさらに深刻化する見通し。ティッセンクルップは、インド鉄鋼大手のタタ製鉄と欧州鉄鋼事業の統合で合意したものの、欧州連合(EU)の欧州委員会が競争政策上の観点から統合を阻止したため、実現に至らなかった。メディア報道によると、中国、スウェーデンの鉄鋼メーカーのほか、タタ製鉄の欧州事業も引き続きティッセンクルップの鉄鋼事業に関心を寄せているもよう。

ティッセンクルップは今年2月、エレベーター部門を投資会社のコンソーシアムに売却した。売却額は約172億ユーロ。取得した資金は、債務圧縮に投入するほか、今後の事業発展にも投資していく。

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