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2020/9/25

一般・その他

温室効果ガス「30年に55%削減」、欧州委員長が目標引き上げ

この記事の要約

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は16日、欧州議会で一般教書演説を行い、2030年に欧州連合(EU)域内の温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも55%削減するとの目標を打ち出した。EUは50年に域内で排出される […]

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は16日、欧州議会で一般教書演説を行い、2030年に欧州連合(EU)域内の温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも55%削減するとの目標を打ち出した。EUは50年に域内で排出される温室効果ガスを実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指しており、実現に向けて削減目標を従来の40%から引き上げる。加盟国や産業界などの意見も踏まえて21年6月までに関連法案を提示する。

一般教書演説は欧州委が今後取り組む重要政策などについて説明するため、欧州委員長が毎年9月に行っているもので、フォンデアライエン委員長にとっては今回が初めて。同氏は「脆弱な地球の未来を考えると排出削減を早急に加速させる以外に道はない」と指摘。新たな削減目標は「詳細な影響評価に基づくバランスの取れた現実的な目標」であり、「EUの経済および産業は目標を達成できるし、それを望んでいる」と強調した。

温暖化対策で柱となるのは再生可能エネルギーのシェア拡大、EU排出量取引制度の拡充、自動車の二酸化炭素(CO2)排出規制の強化など。EU加盟国は7月の首脳会議で、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済を立て直すため総額7,500億ユーロの復興基金を創設することで合意したが、フォンデアライエン委員長は今回、基金の37%を環境関連の事業に投じることや、同枠組みで2,250億ユーロ規模のグリーンボンド(環境債)を発行する計画を打ち出した。全額を金融市場から調達する復興基金のうち、3割を環境債で賄うことになる。

環境政策以外では、欧州で再拡大している新型コロナウイルス感染症への対策強化を表明した。第1波の感染拡大期には加盟国間の連携が円滑に進まず、マスクや医薬品など医療資源の調達や国境管理などで混乱が生じた。こうした反省を踏まえて欧州医薬品庁(EMA)と欧州疾病予防管理センター(ECDC)の権限を強化し、EU全体で危機に対応できる体制を整える。また、米保健福祉省の1部局である生物医学先端研究開発局(BARDA)にならい、域内で公衆衛生上の危機が生じた際にワクチンや医薬品、治療法などの開発や調達を支援する「欧州版BARDA」の創設を目指す。

一方、外交分野では迅速な意思決定を可能にするための改革案を近く公表する方針を表明した。詳細は不明だが、重要政策で全会一致の原則を見直し、特定多数決(QMV)方式に移行することなどが柱となる見通し。ロシア当局の関与が疑われる反体制派指導者の暗殺未遂疑惑や、東地中海のガス田開発を巡りギリシャやキプロスへの圧力を強めるトルコなどを念頭に、人権や民主主義などEUの価値観に反する行為を行った人物に対し、域内の資産凍結や渡航禁止といった制裁措置を迅速に講じることができるようにするのが狙いだ。

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