イングランド全域で3度目の都市封鎖、感染急拡大で学校も閉鎖

英国政府は5日、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからないため、イングランド全域でロックダウン(都市封鎖)を再導入した。ロンドンなどイングランドの多くの地域で12月下旬から封鎖措置を継続してきたが、感染力が強い変異ウイルスが急速に広がっており、医療崩壊を防ぐため一段と厳しい規制が必要と判断した。不要不急の外出を禁止するとともに、学校も閉鎖する。少なくとも2月半ばまで封鎖が継続される見通しだ。

イングランド全域での封鎖は2020年3月と11月に続き3回目。生活必需品以外を扱う店舗は原則閉鎖され、飲食店は持ち帰りと配達のみ営業が認められる。市民の外出は食料品などの購入や通院、運動、在宅勤務が困難な人の通勤などに制限され、違反した場合は200~6,400ポンド(約2万8,000円~89万円)の罰金が科される。

11月との顕著な違いは学校の閉鎖だ。ジョンソン首相はテレビ演説で、子供は感染しても比較的重症化しにくいものの、「家庭内感染を広げる媒介になり得る」と説明し、当面オンライン授業となることに理解を求めた。なお、保育園や託児所は閉鎖しない。

英国では昨年9月にロンドンとイングランド南部で確認された変異ウイルスの感染が拡大しており、4日には新規感染者数が全国で5万8,784人と過去最多を記録。重症者も増加傾向が続いており、医療の逼迫が深刻化している。ジョンソン氏は「変異ウイルスを制御するため、ワクチンが普及するまでより多くの措置を講じなければならない。何もしなければ数週間で医療体制は限界になる」と警告した。

英北部スコットランド自治政府も4日、ほぼ全域で都市封鎖を再導入すると発表した。不要不急の外出が禁止され、違反した場合は罰金が科される。

一方、ロンドンのカーン市長は8日、変異ウイルスの広がりで感染拡大が「制御不能」となり、医療体制を維持できない事態に陥る可能性があるとして「重大インシデント」を宣言した。重大インシデントは通常、テロや重大事故などが発生し、人命や国家安全保障、環境などに対するリスクが高いレベルに達した際に適用される。

政府の発表によると、8日の新感染者数は約6万8,000人、死者数は1,325人と、いずれも過去最多を更新した。カーン氏によると、ロンドンの一部地域では住民の20人に1人が感染しており、救急車の搬送要請は1日最大9,000件に上るという。