英自動車工業会(SMMT)は28日、同国の2020年の乗用車生産が92万928台となり、前年に比べ29.3%減少したと発表した。これは1984年(90万8,906台)以来の低水準となる。ロックダウン(都市封鎖)など新型コロナウイルスの感染拡大防止措置や英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う先行き不透明感、主要輸出先の需要低迷などが大幅な減少の背景にある。
内訳は、国内向けが前年比30.4%減の17万1,890台、輸出向けが29.1%減の74万9,038台だった。輸出は全体の81.3%を占めており、輸出に占める割合は、欧州連合(EU)向けが53.5%で最も多い。なお、EU向けの輸出台数は前年比30.8%減の40万460台に落ち込んでいる。米国向けも前年比33.7%減、日本向けも21.6%減、オーストラリア向けも21.8%減少した。これに対し、中国向けは2.3%増加しており、韓国向け(3.6%増)、台湾向け(16.7%)も前年に比べ増加した。
SMMTによると自動車アナリストによる分析では、内外における新型コロナウイルスの今後の感染状況や市場信頼感の回復などによるものの、2021年の乗用車生産は100万台に達すると予想している。
■ 商用車生産、20年は15.5%減少
SMMTによると、同国の2020年の商用車生産は、前年比15.5%減の6万6,116台に減少した。これは1933年(6万5,508台)以来の低水準となる。内訳は、国内向けが12.2%減の2万8,223台、輸出向けが17.8%減の3万7,893台だった。
輸出のうち、EU向けは94.9%と大部分を占めている。このほかには、イスラエル(670台)、台湾(288台)、ロシア(248台)など50カ国以上に輸出している。
■ エンジン生産、20年は27.0%減少
SMMTによると、同国の2020年のエンジン生産は、前年比27.0%減の184万847基だった。内訳は、輸出向けが29.1%減の112万2,147基、国内向けが23.4%減の71万8,700基と、いずれも大幅な減少だった。輸出向けは全体の61.0%を占めている。