ドイツがチェコとオーストリア西部チロル州を新型コロナの変異ウイルスが蔓延しているリスク地域に指定し、14日から暫定的に両地域との国境を封鎖した。欧州委員会はこれを受けて15日、欧州連合(EU)加盟国に書簡を送り、域内の国境管理に関する共通の基準に沿って冷静に対応するよう促した。
ドイツ内務省は感染症対策の司令塔であるロベルト・コッホ研究所の分析に基づき、チェコおよびチロル州と国境を接する南部バイエルン州と東部ザクセン州で14日午前0時から国境封鎖措置を開始した。両地域からドイツへ入国できるのは、ドイツ国籍者とその家族、ドイツに居住地を持つ人、医療や輸送従事者などに限られる。これらの例外的な入国に際しては、ドイツ入国前48時間以内に受けた検査の陰性証明とデジタル入国登録の提出と、原則として10日間の自宅隔離が義務付けられる。
ドイツ政府は引き続き変異ウイルスの感染状況を注意深く監視するとし、状況によってフランスなど周辺国との国境でも入国管理を強化する可能性を示唆している。
欧州委の報道官は、昨春の第1波の際は各国が独自に国境管理を導入した結果、物流が寸断された事実に触れ、「加盟国は単独で一方的な対策を講じるのではなく、昨年10月に合意した感染状況を示す色分け表示に沿って制限措置を検討してもらいたい。国境封鎖や入国禁止措置は避けるべきだ」と述べ、ドイツの対応を非難した。