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2021/6/25

企業情報 - 自動車メーカー

ポルシェ、高性能バッテリーセルの合弁設立

この記事の要約

独高級スポーツカーメーカーのポルシェは21日、特殊なリチウムイオン電池セルの開発や小規模生産を事業とする独カスタムセルズと高性能バッテリーセルを開発・生産・販売する合弁会社セルフォース・グループを設立すると発表した。ポル […]

独高級スポーツカーメーカーのポルシェは21日、特殊なリチウムイオン電池セルの開発や小規模生産を事業とする独カスタムセルズと高性能バッテリーセルを開発・生産・販売する合弁会社セルフォース・グループを設立すると発表した。ポルシェが過半数(83.75%)を出資する。また、次世代のリチウムイオン電池の開発において独化学大手のBASFと協力することも明らかにした。

新合弁会社の本社はドイツのテュービンゲンに置く。ポルシェの本社(シュツットガルト・ツッフェンハウゼン)や開発センター(ヴァイサッハ)に近い利点がある。従業員数は現在の13人から、2025年までに約80人に増員する予定。

合弁会社の生産能力は年100MWh以上となる予定。これは自動車約1,000台分の高性能電池セルを供給できる量に相当する。

合弁会社が開発する電池セルは、ケイ素をアノード材に使用しており、エネルギー密度が高く、コンパクトな設計が可能になる。バッテリー内部抵抗が小さいため、回生エネルギーを多く回収できる。また、高温環境における耐久性に優れるなどの特徴を持つ。同合弁が生産した電池セルは、ポルシェのレーシングカーやVWグループの高級ブランドであるブガッティやランボルギーニに搭載するもよう。

BASFは、次世代のリチウムイオン電池の開発において、HEDTM NCMカソード材を独占的に供給する。2022年から、カソード材の前駆体をフィンランドのハルハヴァルタ工場で、カソード材をドイツのブランデンブルク州のシュヴァルツハイデ工場で生産する。

高性能バッテリーセルを生産するアイデアは、独コンサルティング会社のP3グループが考案したもので、同社は2019年にカスタムセルズと共同で欧州連合(EU)の「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みを通して助成金を申請した。ポルシェは、自動車業界のパートナーとしてプロジェクトに参加していた経緯がある。ただ、P3グループは中立的な立場を保持するため、合弁会社には出資せず、技術コンサルティング会社として合弁会社と長期的なサービス契約を締結した。

カスタムセルズは2012年の設立で、ドイツ北部のイツェホー(シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州)と南部のテュービンゲン(バーデン・ヴュルテンベルク州)に拠点を持つ。航空機や船舶用などの特殊なリチウムイオン電池セルを開発・生産している。

ドイツ連邦政府とバーテン・ヴュルテンベルク州は、同合弁の設立に約6,000万ユーロを資金支援する。

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