ワクチン接種証明書などの提示、伊が全職場で義務化

イタリア政府は16日、すべての職場で新型コロナウイルスのワクチン接種や検査での陰性を証明する「グリーンパス」の提示を義務付けると発表した。ワクチン接種を促進して集団免疫を獲得し、経済の正常化を進めるのが狙いで、10月15日から実施する。

グリーンパスは少なくとも1回のワクチン接種や、48時間以内に受けたPCR検査または抗原検査での陰性、過去6か月以内の新型コロナからの回復を証明するもの。イタリアでは3月から医療従事者、介護施設の職員などにワクチン接種が義務付けられ、学校の教職員、大学生などはグリーンパスの提示を求められているが、政府は感染拡大を防ぐためグリーンパスを活用した規制の強化を決定。民間企業の従業員、公務員を含む全労働者に提示を義務付ける。

欧州ではフランスなどが医療従事者などに同様の証明書の提示を義務付けている国はあるが、全労働者を対象とする義務化は初となる。

従わない人は解雇されないものの、違反した労働者は最大1,500ユーロ、雇用主は同1,000ユーロの罰金が科される。公務員は5回、民間企業の労働者は1回の違反で出勤停止処分を受ける。政府が非常事態宣言を解除するまで適用する。

イタリアでは全人口の68%がワクチン接種を完了した。しかし、このところ接種率が頭打ちとなっていることから、政府は厳しい措置に踏み切った。感染拡大によって再び厳しいロックダウン(都市封鎖)の導入を迫られ、経済正常化が後退するのを避ける意図がある。スペランツァ保健相は記者会見で、「第1の目的は職場の安全の確保だが、ワクチン接種を進めることが第2の目的だと」述べた。

政府の決定を受けて国内では17日、中部トスカーナ州(州都フィレンツェ)で接種予約者が前日の約3倍になるなど、接種を受けようとする人が急増した。

上部へスクロール