伊藤忠商事(東京都港区)は12月1日、ブロックチェーンを活用した天然ゴムのトレーサビリティシステム(流通経路の追跡システム)「PROJECT TREE」の商用展開を英国で開始すると発表した。まずは、伊タイヤ大手ピレリの英国法人と協力し、12月から当該システムを採用したタイヤの販売を開始する。また、韓国のハンコックタイヤも当該プロジェクトに参加する予定。
このトレーサビリティシステムは、伊藤忠商事のグループ会社である伊藤忠テクノソリューションズが開発した。今回の取り組みは、インドネシアの天然ゴム加工会社PT. Aneka Bumi Pratama(ABP)および英国のタイヤ卸・小売事業会社のUROPEAN TYRE ENTERPRISEの流通経路を活用して実施する。
具体的には、ABPが調達する天然ゴム原料は、当該システムのスマートフォンアプリにより、取引内容、日時、位置情報などがブロックチェーン上に記録され、地図上に表示される。システムに記録された天然ゴム原料はその後、ABPの工場で加工して、原産地情報付きの天然ゴムとしてタイヤメーカーへ販売する。ABPの天然ゴムを使用するタイヤメーカーは、原料のサプライヤー(主に、東南アジアの小規模農家)にタイヤの売上の一部から対価を支払う。
小規模農家はスマートフォンや銀行口座でこの対価を受け取ることができるが、これらの手段を持たない農家は、農具・肥料や生産性向上のための研修を受けることができる。
伊藤忠商事はさらに、国際NGOのProforest、SNVによるコンサルティング・監査を受けながらサプライヤーチェーンにおけるリスクアセスメントの結果に基づく改善計画も実行していく方針を示している。