デンマークで1日、欧州連合(EU)の共通安全保障・防衛政策への参加を問う国民投票が実施され、即日開票の結果、参加支持が過半数を占めた。北欧諸国はロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、安保政策の見直しを進めている。5月に北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請したスウェーデンとフィンランドに続き、デンマークも方針を転換してEUの安保・防衛政策に参加する。
デンマークは1973年にEUの前身である欧州共同体(EC)に加盟したが、1992年の国民投票で、EU創設を定めたマーストリヒト条約の批准を否決。最終的に安保・防衛、通貨、司法内務、EU市民権の4分野でEU共通政策に参加しなくてもよい適用除外権が認められたことで、再度の国民投票で条約批准にこぎつけた経緯がある。NATOには1949年の創設時から加盟する一方、EUの安保・防衛政策には一貫して加わってこなかったが、ロシアのウクライナ侵攻を受け、フレデリクセン首相が3月上旬、同分野の適用除外権を放棄するかどうかを問う国民投票の実施を表明した。
開票結果は賛成が66.9%、反対が33.1%だった。フレデリクセン氏は記者会見で「この結果はプーチン大統領への明確なシグナルだ。われわれは今後、安全保障や防衛面でEUの活動に参加できるようになる」と強調した。
一方、EUのミシェル大統領はツイッターへの投稿で「デンマークの国民は歴史的な選択をした。ロシアによる侵攻で世界は大きく変化した。今回の決断はEUとデンマークをより強く、より安全にする」と歓迎。欧州委員会のフォンデアライエン委員長も「EU共通の安全保障に関与するというデンマーク国民からのメッセージを歓迎する」と投稿した。