仏電力公社、政府が再国有化へ

仏政府は6日、電力国内最大手のフランス電力公社(EDF)を完全国有化すると発表した。巨額の債務を抱えるEDFの再国有化により、原子力発電推進に弾みをつけ、ロシアのウクライナ侵攻で深刻化しているエネルギー危機に政府が完全な主導権を握って対応する。

同計画はボルヌ首相が下院での所信表明演説で明らかにしたもの。EDFは2005年に部分民営化されたが、現在も政府が株式の84%を握っている。政府は残る株式を取得し、再び完全国有化する。株式公開買い付け(TOB)を実施するか、特別法令を通じたものになるのか、時期など詳細は不明。

フランスは原発推進派の国で、電力の約70%を原発で賄っている。EDFがその中心となっているが、このところ原子炉のトラブルが相次ぎ、次世代原発の建設が遅れるなど経営環境が悪化しており、株価が急落。債務が膨れ上がり、原発増設に必要な資金の調達が難航している。

政府はこうした問題を再国有化によって解消したい考えだ。残る株式を現在の時価で買い取ると仮定すると、取引額は50億ユーロ(約6,900億円)程度に上る。

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