仏政府は7月19日、国内電力最大手フランス電力公社(EDF)を完全国有化する計画の詳細を発表した。株式公開買い付け(TOB)で、政府が保有していない株式を総額97億ユーロで買い取る。
政府はEDFの株式84%を保有している。残り株式の買い取り価格は1株当たり12ユーロ。国有化計画を発表する前日の終値に53%を上乗せした水準だ。財務省筋がロイター通信に明らかにしたところによると、10月末までの完全国有化を目指す。
フランスは原子力発電推進派の国で、電力の約70%を原発で賄っている。その中核となるEDFは、このところ原子炉のトラブルが相次ぎ、次世代原発の建設が遅れるなど経営環境が悪化し、債務が膨れ上がっていることから、政府は5日に再国有化を発表。エネルギー危機が深刻化する中、完全な経営権を握り、原発増設を進める意向を表明していた。