燃料電池バス、インフラなどに課題=独ヘッセン州の自治体の事例

独中部ヘッセン州の州都であるヴィースバーデン市の交通公社ESWE Verkehrは2022年12月14日、燃料電池バス10台の運行を停止すると発表した。車庫(デポ)が小さすぎてメンテナンスに必要なスペースを確保できないことが理由。これに対し、同州のフランクフルト市では2022年10月から燃料電池バス13台が試験運行を開始しており、今後さらに燃料電池バスを増やしていく方針を示している。12月15日付けの独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ』が報じた。

ESWEは燃料電池バスの運行を停止した理由について、同社はすでにディーゼルバスと電気バスを運行しており、燃料電池バスのメンテナンスに必要なスペースを確保できないことが分かったため、と説明している。

また、ヘッセン州のバート・ホンブルク市も、燃料電池バスの調達を検討していたが、11月に購入しない方向となった。理由としては、◇同市の近くに水素の充填インフラがない◇現時点での納期が2年と長い◇調達コストが約80万ユーロと高額◇現時点ではグリーン水素の確保が難しく、化石資源から抽出されCO2が大気中に排出されるグレー水素を使用することになる――を挙げている。

■ フランクフルト市は燃料電池バスを増強

これに対し、先頃、試験運行を始めたフランクフルト市はさらに10台を調達する計画で、現在、入札を実施している。2024年から運行を開始する予定。

試験運行中のバスは、ポーランドのバス製造大手ソラリスの「Solaris Hydrogen」で、平日は1日あたり約1万人の乗客が利用している。

現行計画では、同市で運行する燃料電池バスは10年以内に120台以上となり、同市のバスの保有台数に占める燃料電池バスの割合は約27%に拡大する見通し。

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