EUが域内の弾薬増産へ5億ユーロ拠出、ウクライナ支援で

欧州委員会は3日、欧州連合(EU)が5億ユーロを拠出し、域内の弾薬、ミサイル生産を増強する法案を発表した。ロシアの軍事侵攻が続くウクライナに対する支援策の一環。今夏までの法案成立を目指す。

「弾薬生産支援法(ASAP)」と呼ばれる同法案は、ロシアとの戦闘が長期化し、弾薬が不足しているウクライナへの支援を強化するのが目的。EU予算から5億ユーロを拠出し、域内の防衛関連企業による弾薬、ミサイルの増産を図る。既存の生産施設の拡充、新たな生産施設設置などに対して、助成金の形で支援する。

EUはウクライナが軍事侵攻を受けてから、武器、弾薬を供与してきたが、域内での生産体制が十分ではなく、在庫が不足している。このため、関連企業に対する直接支援を行い、迅速に十分な量の弾薬、ミサイルを供給できる体制を整える。

ただ、EU基本条約には、EU予算の軍事目的での活用を厳しく制限するルールがあり、これにASAPが抵触するとの見方がある。法案成立に必要となる加盟国、欧州議会の承認を取り付ける際に、これが問題となる可能性がある。

EUは3月の首脳会議で、12カ月以内に100万発の弾薬、ミサイルをウクライナに供給することを決定した。3段階に分けて実施する方針で、ASAPは第3段階に当たる。加盟国がウクライナ向けの10億ユーロ相当の弾薬を共同購入する第2段階については、加盟国が3日に開いたEU大使による協議で正式承認された。