英政府は10日、同国が欧州連合(EU)を離脱してからも国内で適用されている全てのEU法を年内に失効させる法案を修正すると発表した。法の安定などを重視し、従来の方針を撤回。半数以上を残す。
英国ではトラス政権時の2022年9月に、約4,800件に上るEU法のうち、特別に残す必要があると判断したものを除いて、23年末までに自動的に失効させる法案を発表。スナク首相も同方針を踏襲する意向を表明していた。
これに対して、国内では経済界で規制などが不透明になるとして懸念する声が浮上。野党もEU法を国内法に置き換えるのには膨大な作業が必要で、年末までにやろうとすると議会で十分に審議できないとして批判していた。
こうした状況を受けて、バデノック国際貿易相は10日に方針転換を発表。年末までに失効させるEU法を約600件にとどめることを明らかにした。失効対象となるEU法のリストは近日中に公表する。
英国のEU離脱後も残ったEU法は約4,800件。バデノック国際貿易相によると、これまでに約1,000件が失効または改定された。このほか、約500件の失効が議会で審議中だ。年内の失効が600件だけとなると、24年以降も2,500件以上が存続することになる。