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2010/7/30

企業情報 - 部品メーカー

独マーレ、ベーア買収で合意

この記事の要約

独自動車部品メーカーのマーレとベーアは26日、マーレが段階的にベーアの資本を取得して同社を買収することで合意したと発表した。両社の売上高を単純合計すると約65億ユーロ(2009年通期決算ベース)となり、国内ではボッシュ、 […]

独自動車部品メーカーのマーレとベーアは26日、マーレが段階的にベーアの資本を取得して同社を買収することで合意したと発表した。両社の売上高を単純合計すると約65億ユーロ(2009年通期決算ベース)となり、国内ではボッシュ、コンティネンタル/シェフラー、ZFフリードリヒスハーフェンに次ぐ4位の自動車メーカーに躍進する。両社の製品は補完効果が高く、マーレのハインツ・ユンカー社長は中期的に売上高で100億ユーロを視野に入れることができるようになると述べている。同取引の成立にはカルテル当局の認可が必要となる。

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ベーアはマーレを引受先とした増資を年内と2011年初めの2回に分けて実施する。マーレのベーアに対する出資比率は1回目の増資で19.9%、2回目の増資で36.85%になる。これにより、現在、ベーアの資本の77%を保有するベーア家の出資比率は48.9%に、バーデン・ビュルテンベルク州立銀行(LBBW)の投資子会社BWKの同比率は現在の23%から14.3%に下がることになる。

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マーレはさらに、コールオプション権を行使して、2013年以降にマーレの資本の過半数を取得することもできる。両社はこのほか、ベーア家とBWKが10年以内に持ち分をマーレに段階的に売却できることでも合意した。

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ベーアは主に乗用車および商用車向けの空調システムやエンジン冷却装置を生産している。一方、マーレはピストンシステムやシリンダー部品など主に吸排気系部品を得意とする。マーレのユンカー社長は両社の経営統合により、駆動系システムで高い相乗効果を期待できると指摘、具体的には、排気ガス再循環モジュールやインタークーラー付吸気システムなどを一手に生産できるようになると説明した。また、温度管理に関する技術は、燃費改善や二酸化炭素(CO2)削減への取り組みで重要な意味を持つとの見解を示している。

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業界では、マーレの製品が従来の内燃エンジン部品に偏り過ぎているとの指摘もある。ベーアの温度管理に関するノウハウは今後の普及が見込まれる電気自動車の駆動装置の冷却技術にも必要となることから、マーレにとって今回の買収は将来の事業展開に向けて重要な意味を持つと見られている。

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また、今回の買収はマーレによるベーア救済の側面も持つ。マーレとベーアはともにシュツットガルトに本社があり、その距離は数キロメートルしか離れていない。ベーアは金融危機による自動車市場の低迷を受けて財務内容が悪化し、自己資本比率が12.8%に落ち込んでいた。ベーアは投資家を探しており、マーレはすでに今年2月、ベーアの子会社であるベーア・インダストリーを買収するなどして財務支援していた。

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今回の買収の取引価格は公表されていない。業界ではマーレは2回の増資で計1億5,000万~2億ユーロを投資することになるとみている。

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