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2011/3/18

総合 – 自動車産業ニュース

EU共通特許の創設が正式決定、伊・スペイン除く25カ国で先行導入

この記事の要約

欧州連合(EU)加盟国は10日開いた競争力相理事会で、イタリアとスペインを除く加盟25カ国が域内共通の単一特許制度を導入することを承認した。加盟国のうち9カ国以上の「有志」による先行統合を認める仕組みを活用する。欧州議会 […]

欧州連合(EU)加盟国は10日開いた競争力相理事会で、イタリアとスペインを除く加盟25カ国が域内共通の単一特許制度を導入することを承認した。加盟国のうち9カ国以上の「有志」による先行統合を認める仕組みを活用する。欧州議会は先月の本会議で共通特許構想を承認しており、加盟国の正式承認により新制度の導入が確定した。

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共通特許制度では、企業は英語、仏語、独語のうち1つの言語で欧州特許庁(EPO)に出願し、認可されればすべてのEU加盟国で同じ効力を持つ特許を取得することができる。現在もEPOに出願して「欧州特許」を取得する仕組みはあるが、最終的な認可権限は各国の特許庁が握っているため、特許を取得したい国の制度に合わせてそれぞれ書類を用意しなければならず、翻訳などの費用が企業にとって大きな負担になっている。欧州委員会は域内の特許制度を一元化することが技術革新を推進し、EUの競争力強化につながるとの立場から、2000年に共通特許の導入と、特許関連の紛争処理にあたる「EU特許裁判所」の創設をセットで提案。加盟国の間で協議が続いていた。

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共通特許の導入により、複数の国で特許を取得する際の出願手続きが大幅に簡素化され、翻訳などのコストを大幅に節減できる。このため産業界は早い段階から概ね同構想を支持していたが、自国言語が選択肢から除外されることに難色を示すイタリアとスペインの強い反対で調整が難航。紆余曲折の末、加盟国は昨年12月、賛同国だけで先行導入する方針を決定し、当初は英仏独のほかオランダ、スウェーデン、フィンランド、ポーランドなど12カ国が参加を表明していた。

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一方、EU特許裁判所の創設をめぐり、欧州司法裁判所は8日、同構想は加盟国からEU機関への著しい権限の移転を伴い、EU条約に抵触するとの見解をまとめた。現行制度では特許関連の訴訟は国ごとに並行して進められるため、複数の国で審理が行われる場合、費用がかさむうえに異なる判決が出る可能性もある。欧州委はこうした弊害を取り除くため、共通特許と共に単一特許制度を支えるもう1つの柱として、法律と先端技術に関する高度な専門知識を持つ裁判官が一元的に審理を行うシステムの導入を提案。EU閣僚理事会はこれを受け、欧州司法裁にEU法との整合性についての判断を求めていた。

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欧州委は裁判所の見解を分析したうえで、特許裁判所の構想を抜本的に見直す方針を示している。ただ、EU共通特許と特許裁判所の創設は別個の事案であり、共通特許の導入計画には影響がないと強調している。

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