独電機大手のシーメンスとスウェーデン自動車大手のボルボ・カー・コーポレーションは8月31日、電気自動車(EV)の開発で包括提携することで合意したと発表した。電気駆動システムやパワーエレクトロニクス、充電技術の開発に加え、これらのシステムをボルボのEV「C30エレクトリック」に導入する技術でも協力する。
\ボルボは今年末から、シーメンスが開発した電気モーターを搭載したC30エレクトリックの試験走行を実施。2012年末には同モデルを最大200台シーメンスに供給し、実用試験する予定。その後、実用試験の結果を踏まえて量産化を決定する方針を示している。
\シーメンスがボルボ向けに開発した電気モーターは、最大出力が108kW、最大トルクは220Nm。両社は今後、共同でインバーターモジュールを改良する方針を示している。シーメンスはさらに、高効率の充電システムも供給する予定だ。
\ \■ シーメンス、EV関連事業の拡大に意欲・幅広いノウハウを活用
\ \シーメンスはこれまで、路面電車やハイブリッドバス向けに電気モーターを供給してきた実績がある。今後は同分野での豊富なノウハウを自動車向けにも活かしていく方針で、ボルボ以外の自動車メーカーにも取引先を広げる意向を示している。
\メディア報道によると、シーメンスは独自動車大手のダイムラーとも電気モーターの供給に向けて協議していたが、ダイムラーは7月、独自動車部品大手のボッシュとEV向けの電気モーターを開発・生産する合弁会社を折半出資で設立することで合意、契約に調印している。
\シーメンスの産業部門の最高経営責任者(CEO)であるジークフリート・ルスヴルム取締役は今後の事業展開について、「我々の長期的な目標はグローバルなシステムメーカーとして自動車の部品や装備を提供していくことにある」と述べ、電気自動車についても幅広い製品を供給していく方針を示した。
\同社は駆動系システムや充電技術のほか、産業技術のノウハウも豊富に持つ。例えば、自動車やバッテリーの生産コスト削減や効率化に寄与する産業用ソフトウエアや自動化技術を提供できる。また、水素燃料の生産や次世代送電網(スマートグリッド)の研究・開発にも取り組んでいる。
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