米素材メーカー・スタイロンの独子会社(スタイロン・ドイチュラント)の事業が好調だ。高性能タイヤの需要拡大が追い風となっており、ザクセン・アンハルト州にあるシュコパウ工場では9,000万ユーロを投資して新たな生産ラインを増設している。同社では1年前の出資者変更をきっかけに、雇用や投資縮小の不安が広がっていたが、需要増で危機を回避できたもようだ。同社のラルフ・イルメルト社長が樹脂業界専門紙『Kツァイトゥング』の中で明らかにした。
\シュコパウ工場で建設中の新ラインは、自動車タイヤの原料となるソリューション・スチレンブタジエンゴム(S-SBR)を生産するもので、年産能力は5万メトリックトンとなる。稼働開始は2012年10月頃を予定している。新ラインの稼働によって、シュコパウ工場は欧州最大のゴム生産拠点になるという。
\S-SBRは主に高機能タイヤに使用される。雨天時のウェットグリップ性能や耐摩擦性に優れ、軽量かつ回転騒音や転がり抵抗が小さいなどが特長。
\新ラインを建設する背景には、欧州連合(EU)で2012年からタイヤ性能を表示するラベル制度が導入されることがある。これにともない欧州では低燃費につながる高性能タイヤへの需要が高まる見通しで、スタイロンは需要増に対応できる体制を整え、競合に一歩先んじる狙いがある。
\