UltimateGaN

欧州9カ国の産業界、学術界から26パートナーが参加する窒化ガリウム(GaN)のパワー半導体に関する研究プロジェクト。新しい半導体材料である窒化ガリウム(GaN)をベースに、世界市場においてもコスト競争力が高く、幅広い用途に使用できるパワー半導体の開発を目指す。

プロジェクト予算は約4,800万ユーロと、欧州でも最大規模の研究プロジェクトの一つに数えられる。実施期間は2019年6月~2022年5月の3年間。プロジェクト予算は、企業投資、各国の助成金、欧州連合(EU)の助成などで賄われている。

パワー半導体は、電源・電力の制御や供給を行う。GaNを使用したパワー半導体は、電流密度が高いため、小型・軽量なデザインが可能になるほか、より効率的な電流の切り替えや、より大量のデータをより速く送信することができる。これにより、エネルギー消費量や電流損失を大幅に削減することができ、エネルギー効率の向上や二酸化炭素(CO2)排出量の削減に寄与することができる。

具体的には、電気自動車の充電時間の短縮、産業設備や機械間のリアルタイムのデータ交換、太陽光発電の送電網への供給、高速度のビデオストリーミングなどに活用することができる。

同プロジェクトは、独半導体大手インフィニオン・テクノロジーズのオーストリア子会社インフィニオン・オーストリアが主導する。

インフィニオン・オーストリアは、新しい半導体材料である炭化ケイ素(SiC)と窒化ガリウム(GaN)に関するノウハウを持つ。オーストリア南部のフィラッハにある拠点では、2018年に終了した研究プロジェクト「PowerBase」を通して、量産化のベースとなるGaNパワー半導体を開発しており、今回のプロジェクトでは、さらなる小型化や、品質およびコスト競争力の向上に取り組む。

今回のプロジェクトは、工程の開発やデザイン、接続技術、総合的なシステムソリューションまで一連の価値連鎖(バリューチェーン)を対象としている。このため、オーストリア、ベルギー、ドイツ、イタリア、スロバキア、ノルウェー、スイス、スペイン、スウェーデンの9カ国から、幅広い分野の企業・研究機関が参加している。

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