センサーやカメラなどにより、車内の乗員数や乗員の動きなどを認識・分析し、安全性や利便性の向上に役立てることを目指すドイツの共同研究プロジェクト。歩行者など車両の周辺の様子を把握するためのセンサーの開発が進んでいるように、車内の様子もセンサーなどで把握して運転支援システムや、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)の開発に役立てる。
自動車部品大手のボッシュやビステオン、車車間通信(Car2Car)や車両と外部の通信(Car2X)システムの開発を事業とするNordsys、フラウンホーファー労働経済組織研究所(IAO)、フラウンホーファー・オプトエレクトロニクス・システム技術画像処理研究所(IOSB)、シュツットガルト大学、自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が参加しており、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)が同プロジェクトを支援している。
同プロジェクトでは例えば、乗員の体の大きさに応じてエアバッグを調整したり、ドライバーが後部座席の子供の方を振り向くと車載モニターに後部座席の様子を映し出すといった新しい運転支援システムの開発が可能になると考えている。また、乗員の動きを把握するシステムは、自動運転機能からドライバーによる運転への切り替えにどのくらいの時間が必要になるかを測定するためにも役立つとしている。
課題は乗員の動きの分析にあるという。センサーなどで乗員の体の大きさや動きの認識は可能だが、乗員が手に何を持っているかや動作の意図を正確に分析することが困難であるという。
研究チームは、開発したシステムをフラウンホーファー労働経済組織研究所(IAO)のシミュレーションを使って試験・改良し、次の段階としてVWのマルチバンで被験者による実証試験を実施する計画。今回のプロジェクトの研究成果は、5~10年後の新しい車両コンセプトの基盤になると見込んでいる。