雨や雪などの悪天候時や複雑な交通状況においても車両周辺の道路状況を正確に把握し、適切に対応できる高度運転支援システムの開発を目指す欧州プロジェクト。
例えば、車載カメラでは、雨や雪などの悪天候時は視界が悪くなり、情報の収集が難しい。このため、カメラだけでなく、レーザーやレーダーなど様々な車載センサーデータの連携により、安全で安定した運転の確保を目指す。
プロジェクトの実施期間は2015年6月1日~2018年5月31日までの3年間。ドイツ、オーストリア、イタリア、スペイン、フィンランドの欧州5カ国から15の企業・研究機関が参加する。
これまでの2年間はソフトウエアプラットフォームの開発に注力した。カメラ、レーザー、レーダーなどの車載センサーのデータに加え、天候データなどの他の情報を連携するソフトウエアプラットフォームを開発した。
同プラットフォームは、シミュレーションシステムでの試験を終え、今年の秋・冬には、ベルリンにある高度自動運転技術の試験場などで、実際の走行試験を実施する計画。
同システムでは例えば、雪が道路に積もっている状況では、高精細地図(HDマップ)に基づいた道路ライン(道路標示)に従った運転ではなく、雪かき作業が行われた道路の部分を走行するといった運転を可能にする。
プロジェクト予算は約869万ユーロ。このうち欧州連合(EU)は約335万ユーロを支援する。調整役は独自動車大手のダイムラーが務める。このほか、ドイツのフラウンホーファーオープン通信システム研究所(FOKUS)や部品大手のロバート・ボッシュ、オーストリアのエイヴィエル(AVL)リスト、フィンランドの技術研究センター(VTT)などが参加している。