独自動車大手のダイムラーの研究チームがこのほどフィンランド北部のロヴァニエミで実施したトラックの試験プロジェクトに使用したキャビン用の照明モジュール。波長範囲が460~490nmの人工太陽照明灯で、照明灯がトラックドライバーの健康や運転パフォーマンスにどのような影響を及ぼすかを調べている。
トラックのドライバーはキャビンの形状から、太陽光を浴びる量が少ないと見られている。冬季の日照時間が極めて短い北欧では、人工太陽照明灯が医療にも用いられていることから、ダイムラーの研究チームは、トラックのキャビンに人工太陽照明灯を設置することでドライバーの労働環境や運転パフォーマンスが向上すると見込んでいる。
今回のプロジェクトでは、ダイムラーのテストドライバー8人がフィンランド北部のロヴァニエミで2週間の実証試験に参加した。通常の照明と「Daylight+ 」をそれぞれ1週間ずつ使用して、健康状態や運転状況を比較するもので、脳波(EEG)、心電図(ECG )、唾液に含まれるホルモン値などの健康データや、車載コンピューターによる走行データを収集したほか、ドライバーへのインタビューも実施した。
「Daylight+ 」は、◇運転中(外部と同じ明るさの照度)◇運転の前後(最大の照度)◇休憩中(最大の照度)――に使用した。
実証試験に参加したテストドライバーは「Daylight+ 」を評価しており、車内空間が広く感じられたとの意見も寄せられた。
研究チームは現在、実証試験で収集したデータの分析作業に取り組んでいる。