人口の少ない地域における旅客輸送と貨物輸送の連携の可能性を調査・分析するドイツのプロジェクト。フランクフルト応用科学大学(フランクフルトUAS)の都市交通研究室(ReLUT)とハノーバー応用科学大学(HsH)の経済・情報学部が共同で実施した。プロジェクト期間は2020年10月~2021年9月まで。プロジェクト予算は約1万ユーロで、ドイツ連邦交通・デジタルインフラストラクチャー省(BMVI)が全額を資金支援した。
今回のプロジェクトでは、地域における旅客輸送と貨物輸送のデータ収集・分析、連携コンセプトのシミュレーションの実施を計画した。(連携サービスを提供可能な)範囲、時間帯、環境負荷、経済的な潜在可能性を分析する内容。
具体的な連携の可能性としては、例えば、人の移動が少ない時間帯に、自動運転の小型バスを投入し、往路は貨物を輸送して、復路は病院や買い物へ行く人に輸送サービスを提供する、といった可能性があると見込んでいる。
プロジェクトを実施した結果、貨物輸送に関しては、事業者の協力により必要なデータを収集できたものの、旅客輸送についてはシミュレーションを活用した分析に必要な十分なデータを収集できなかった。主に手動でデータを収集したためで、今後の課題としてはデジタル技術を活用したデータ収集の実施を検討する必要があるとしている。デジタル技術を活用したデータ収集は、公共交通機関も走行ルートの改善や他の顧客サービスに活用することができる。
なお、今回のプロジェクトについては、交通や貨物輸送の専門家、自治体、公共交通機関、輸送事業者が高い関心を示していることから、研究チームは、当該テーマのさらなる研究や後続プロジェクト実施の可能性があるとの見解を示している。