電気自動車の充電用アプリを開発するドイツの新興企業。複数の電気自動車が同時に充電するためには、電力インフラを増強する必要があるが、同社のアプリを活用すれば、充電時間の分散により、電力網の負荷を軽減できるため、インフラ投資を抑えることが可能になり、電気自動車のユーザーは電力料金を節約することができる。
例えば、集合住宅で22キロワットの充電スタンド10基を整備する場合、電力網の運営会社は220キロワット分の電力インフラを増強しなければならないが、同社のシステムを活用すればインフラの増強は半分の110キロワットで充電需要に対応することができる。
同社のシステムは、ユーザーがアプリに充電が完了していなければならない時間を入力すると、アルゴリズムにより、電力需要に応じて充電時間を分散し、電力網の負荷を平準化する仕組み。これにより、ユーザーは電力料金を節約することができる。
同社によると、顧客のアンケート調査では、大部分のドライバーは電力料金を30%節約できるのであれば、直ちに充電できなくても良いと考えていることが分かった。また、シミュレーションでは、年300~500ユーロの電力料金を節約できるとの結果を得られた。
同社では今秋にもアプリを市場投入する計画。同社が開発した技術を使用して他社が自社ブランドから製品を販売することができるホワイトレーベル提供のほか、独自のアプリ提供も検討している。
今後の展開としては、例えば、販売ディーラーが電気自動車の顧客にアプリを提供し、節約した電力料金をポイント化して、ディーラーのサービスに利用できるシステムなど、様々な事業モデルの可能性があると見込んでいる。