StackPack

フランスの自動車部品大手フォルシアとタイヤ大手ミシュランが設立した燃料電池事業の合弁会社シンビオが米ラスベガスで開催されたテクノロジー見本市「CES」(1月5~8日)に出展した燃料電池。シンビオがCESに出展するのは今回が初めてとなる。

シンビオの燃料電池「StackPack」は、あらゆるモビリティ用途のニーズに対応できるように、40kW~300kWまでの幅広い範囲をカバーすることを想定して設計されている。

アップグレードした「StackPack 40」(「T5」)は、主要顧客である欧州自動車大手のステランティスの計画に対応し、2023年末までに量産の準備が整う予定。「StackPack 40」は、定格出力40kW、スタックの電力密度は3.9kW/L。軽商用車での使用サイクルで7,000時間の寿命(ライフタイム)を達成している。

■ 次世代「StackPack」を開発

次世代「StackPack」の最初のバージョンとなる「NextGen StackPack(NG1)」は、2023年第2四半期に試験用に顧客に出荷する予定。2024年上半期には小規模台数向けの生産準備が整う予定。「NG1」のシステム出力は75kWで、スタックの電力密度は4.9kW/L、寿命(耐久性)は2万時間。バス、コーチ(旅客バス)、商用車での使用を想定している。シンビオは、150kWのツインスタックシステムと300kWのツインシステムソリューションも供給する計画。

2番目のバージョンとなる「NextGen StackPack(NG2)」もすでに開発している。市場をリードする金属製バイポーラプレート技術により、スタックの電力密度は6kW/Lに達する予定。また、独自のMEA技術のサポートにより、100℃を超える動作温度と2万時間以上の寿命を可能にする。

NG2は、シングルスタックの定格出力で130kW~160kWを確保し、SUV、ピックアップトラック、大型トラックなどの最も厳しいアプリケーションに対応する。2024年上半期に最初のシステムを顧客に出荷する予定で、量産の開始は2026年末になると見込んでいる。

■ フルスタックモニタリング(FSM)技術を開発

シンビオはさらに、スタックの寿命の長期化に寄与する最新技術「フルスタックモニタリング(FSM)」も開発している。FSM技術はすべての次世代「StackPack」に採用する予定。

FSMは、セル間のインピーダンス(電気抵抗)測定により、スタックの動作(オペレーション)の最適化、将来のメンテナンスの予知、予想される性能の変動のリモート診断を可能にする。FSMの生産は、フランスのサンフォン工場で2023年に開始する予定。