2010/1/4

環境・通信・その他

仏憲法評議会が炭素税に違憲判断、企業向け例外規定は「不公平」

この記事の要約

フランスの違憲審査機関である憲法評議会は12月29日、国内で2010年1月1日に開始される予定だった炭素税導入に違憲の判断を下した。二酸化炭素(CO2)排出量が大きい1,000以上の事業所や火力発電所を課税対象から外すな […]

フランスの違憲審査機関である憲法評議会は12月29日、国内で2010年1月1日に開始される予定だった炭素税導入に違憲の判断を下した。二酸化炭素(CO2)排出量が大きい1,000以上の事業所や火力発電所を課税対象から外すなど、例外規定が多く不公平で、温暖化対策としての効果も低いと判断した。フィヨン首相は1月20日までに修正法案をまとめる意向を示しているが、炭素税を温暖化対策の柱と位置づけ、野党や国民の反発を押し切って導入準備を進めてきたサルコジ政権にとって違憲判断は大きな痛手となる。

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炭素税はガソリンやガスなどに課税することで化石燃料と化石燃料を利用した製品の需要を抑制し、家庭や企業から排出されるCO2を減らすのが狙い。石油、ガス、石炭を対象に、CO2排出量1トン当たり17ユーロに設定されたが、電力に関しては、フランスではCO2排出量が少ない原子力が主流との理由で課税対象から除外された。さらに新たな税負担がコストを押し上げ、国内産業の競争力低下を招くといった懸念に配慮して、石油精製所やセメント工場など、大量の温室効果ガスを排出する1,018の事業所や火力発電所が免税対象に指定された。

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憲法評議会は一連の例外措置により、産業部門によるCO2排出量の93%が課税を免れる一方で、一般家庭は重い負担を強いられることになり、「税の平等原則に反する」と指摘。さらに公共輸送、航空、農業、漁業など幅広い分野が減免対象となるため、温室効果ガスの排出抑制効果は期待できず「温暖化防止の目的に反する」と批判。現行の税制は憲法に違反すると結論づけた。

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