2010/1/25

総合 –EUウオッチャー

ブルガリアの欧州委員候補が辞退、新体制発足さらに遅延

この記事の要約

欧州委員会の国際協力・人道援助・危機対応担当委員の候補だったブルガリアのルミヤナ・ジェレヴァ外相が19日、委員就任を辞退した。委員の承認権を持つ欧州議会が、同候補の就任に強く難色を示したことを受けたもの。これにより委員候 […]

欧州委員会の国際協力・人道援助・危機対応担当委員の候補だったブルガリアのルミヤナ・ジェレヴァ外相が19日、委員就任を辞退した。委員の承認権を持つ欧州議会が、同候補の就任に強く難色を示したことを受けたもの。これにより委員候補の承認手続きがずれ込み、新欧州委の発足が遅れることになった。

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EUの閣僚に相当する欧州委員は27人。加盟国が1人ずつ送り込む。2期目となるバローゾ委員長を除く26人の候補は、欧州議会の公聴会に出席して資格審査を受けた上で、一括して承認を受ける必要がある。

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ジェレヴァ候補をめぐっては、12日に行われた公聴会で第2会派の欧州社会党グループが、ビジネス界との関係について虚偽の報告をしたと批判。さらに職務関連の答弁も不満として、承認を拒否する構えをみせていた。ジェレヴァ候補は虚偽報告の事実を否定していたが、「公平で客観的な審査を受ける望みがない」として辞退した。ブルガリア政府は同日、代わりに世界銀行のゲオルギエワ副総裁を委員候補に指名した。ジェレヴァ候補は同時に外相も辞任。後任はムラデノフ国防相が兼務する。

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欧州委は昨年11月に新体制に移行するはずだったが、EU新基本条約「リスボン条約」の発効がずれ込んだため手続きが遅れ、2月1日の始動を目指していた。しかし、委員候補が入れ替えられたことでスケジュールが狂い、26日に予定されていた欧州議会の承認手続きは2月9日に行われる見込み。このため、新体制の船出まで、さらに時間がかかることになる。

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EUでは現欧州委発足の際、2人の委員候補が同性愛への差別発言、汚職疑惑を欧州議会で追及され、入れ替えになった経緯があり、委員の人選は2期連続でつまずいた形となった。

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