EU統計局ユーロスタットが12日発表した2009年10-12月期のユーロ圏16カ国の域内総生産(GDP、実質ベースの速報値)は前期比0.1%増となり、2四半期連続でプラス成長となった。ただ、最大の経済国であるドイツがゼロ成長にとどまったほか、イタリアがマイナス成長に転落するなどして、上げ幅は前の期の0.4%から縮小。本格的な景気回復には程遠い状況だ。(表参照)
\ユーロ圏のGDPは前年同期比では2.1%減。下げ幅は前の期の4%を下回った。EU27カ国ベースのGDPは前期比0.1%増、前年同期比2.3%減だった。通年成長率はユーロ圏が4%減、EUが4.1%減。
\今回のGDP速報値はEU17カ国のデータに基づいてはじき出された。7-9月まで2期連続でプラス成長だったドイツは、輸出が伸びたものの個人消費と投資が落ち込んで失速した。イタリアは前期比0.2%減となり、前期の0.6%増からマイナス成長に転落。スペインは0.1%減と、6期連続のマイナス成長となり、EU主要国で唯一、景気後退を脱け出せないでいる。また、財政危機で揺れるギリシャは0.8%減で、下げ幅が前期の0.5%から膨らんだ。
\一方、主要国で明るい材料となったのがフランスと英国。フランスは前期比0.6%増となり、伸び率は前期の0.2%から拡大した。新車買い替え奨励策の効果などで個人消費が0.9%増加し、回復をけん引した。マイナス成長が続いていた英国は0.1%増と、7四半期ぶりのプラス成長に転じ、景気後退局面を脱した。
\ユーロ圏の成長率は予想を大きく下回り、前期比1.4%だった米国に大きく引き離された。景気刺激策の効果が一巡し、ギリシャの財政危機問題という不安要素を抱えるなか、市場では「自律的回復には相当時間がかかる」(英民間調査機関・経済ビジネス調査センターのエコノミスト)といった声が出ている。
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