2010/2/22

総合 –EUウオッチャー

ギリシャ支援の具体策示さず、まず自助努力優先=EU財務相理

この記事の要約

EUは16日開いた財務相理事会で、ギリシャの財政危機問題について協議し、3月中旬までに今年の財政赤字削減のめどが立たなければ、増税などの追加措置を講じるよう求めることで合意した。前週のEU首脳会議で打ち出したギリシャ支援 […]

EUは16日開いた財務相理事会で、ギリシャの財政危機問題について協議し、3月中旬までに今年の財政赤字削減のめどが立たなければ、増税などの追加措置を講じるよう求めることで合意した。前週のEU首脳会議で打ち出したギリシャ支援に関しては、具体策は示さなかった。当面は支援を見送り、ギリシャに自助努力を迫る格好となる。

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2009年の財政赤字が国内総生産(GDP)比12.7%に膨らみ、EUの財政規律で上限となっている同3%を大幅に超過したギリシャは、2012年までに赤字を許容範囲内まで削減することを求められている。2010年はGDP比8.7%まで削減しなければならない。しかし、赤字削減の柱となる増税、社会保障費削減、公務員の給与カットに国民が強く反発。公務員などのストライキが頻発するなど財政再建計画の実効性が疑われており、金融市場の混乱は収まっていない。

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こうした中、ギリシャの信用不安が他のユーロ圏諸国に飛び火することを恐れるEUは11日の首脳会議で、他のユーロ圏諸国が必要に応じてギリシャに金融支援を実施する用意があることを表明。今回の財務相理事会で支援の具体策が固まる可能性があった。しかし、理事会に先立って15日に開かれたユーロ圏16カ国の財務相会合では、「現時点で具体策を協議するのは賢明ではない」(議長国ルクセンブルクのユンケル首相兼財務相)として、具体策を示さず、まず自助努力を促すことで合意。非ユーロ圏を加えたEU財務相理事会も同方針を採択した。

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ギリシャは今年の赤字削減計画の実施状況を3月16日までに報告することを求められる。EU財務相理事会が同日の会合で報告内容を検証し、削減努力が不十分と判断すれば追加措置の実施を命じる。ユンケル首相兼財務相は追加措置について、付加価値税(VAT)、エネルギー税の増税や、ぜいたく品を対象とする新たな物品税の導入、資本支出の削減を例に挙げた。

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金融取引で赤字隠し?

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一方、ギリシャの赤字拡大をめぐっては、同国が赤字を金融取引によって穴埋めし、実態よりも小さくみせていたことが発覚し、新たな波紋を広げている。

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米ニューヨーク・タイムズ紙によると、ギリシャ政府は2001年から08年にかけて、将来に生じる空港税や宝くじの収益を担保に、ゴールドマンサックスなどの投資銀行から融資を受け、財政赤字を補てん。これを為替取引として扱い、債務の拡大を隠していたという。

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ギリシャの信用不安は、昨年10月の政権交代に伴って財政赤字の“粉飾”が露呈し、赤字が従来考えられていたより大幅に膨らんでいることが判明したのがきっかけ。パパコンスタンティヌ財務相は、このような金融取引は「当時は合法だった」として、他の加盟国も行っている例があることを指摘し、問題はないとの考えを示しているが、欧州委員会は同問題について早急に説明するよう求めた。

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