2010/2/22

環境・通信・その他

ドナウ川流域の14カ国、環境保全のための行動計画を採択

この記事の要約

ドナウ川流域の14カ国が16日、ウィーンで会合を開き、ドナウ川とその支流の環境状況を改善するための向こう5年間の行動計画を盛り込んだ「ドナウ川流域管理計画(仮称)」を採択した。「欧州のアマゾン」と呼ばれるドナウ川流域の豊 […]

ドナウ川流域の14カ国が16日、ウィーンで会合を開き、ドナウ川とその支流の環境状況を改善するための向こう5年間の行動計画を盛り込んだ「ドナウ川流域管理計画(仮称)」を採択した。「欧州のアマゾン」と呼ばれるドナウ川流域の豊かな自然と生態系を保護するため、関係国が連携して汚染の除去や湿地回復などに取り組む。

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ドナウ川はドイツ南部のシュバルツバルトを源流とし、ヨーロッパを横断して黒海に注ぎ込む全長2,860キロメートルの大型国際河川で、ライン川と並ぶ欧州の大動脈として国際共同管理の下で利用や開発が行われている。環境保全のための国際的な枠組みとしてはEUの水質政策枠組指令(WFD)やドナウ川保全協定(DRPC)があるが、流域国がより緊密に連携してさまざまな問題に対処するため、ドナウ川保全国際委員会(ICPDR)の呼びかけで今回の会合が開催された。会合にはドイツ、オーストリア、チェコ、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなど14カ国の環境相などと欧州委員会の代表が出席した。

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ドナウ川流域管理計画は向こう5年間に取り組むべき課題として、支流を含めた流域の汚染除去、湿地や氾濫原の回復、水害の予測・警報システムの改善などを挙げている。さらにダムや運河の建設など人工的な変化が環境に及ぼす悪影響を最小限に抑え、流域の再自然化を進めることも計画に盛り込まれている。

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ICPDRのMitja Briceji会長は「ドナウ川は多くの国が共同で利用しており、流域の環境保全の責任もこれらの国が共同で負う必要がある。ドナウの水資源は環境面で持続可能な方法によって管理されなければならない」と語った。一方、世界自然保護基金(WWF)やドイツ環境自然保護連盟(BUND)は今回の動きを歓迎しているが、水力発電所の建設や水運の利便性追及などへの対抗策も行動計画に盛り込むべきだと主張している。

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