2010/3/22

産業・貿易

銀行破たん処理の基金創設検討、金融機関が資金拠出=欧州委員

この記事の要約

欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は19日、銀行の破たん処理に伴うコストを賄うため、域内の金融機関に資金の拠出を義務付けて「整理基金」を創設する構想を明らかにした。各国政府は金融危機の再発防止に向けた取り […]

欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は19日、銀行の破たん処理に伴うコストを賄うため、域内の金融機関に資金の拠出を義務付けて「整理基金」を創設する構想を明らかにした。各国政府は金融危機の再発防止に向けた取り組みの一環として、巨大銀行の破たん処理の仕組みについて検討を進めており、EU で整理基金が実現すれば、国境を越えて活動する金融機関の破たん処理のモデルになる可能性がある。

\

バルニエ委員は金融業界の関係者を集めた欧州委主催の会議で「納税者が金融機関のリスクを背負うべきではない」と指摘。環境政策の分野でEUが導入している「汚染者負担」の原則に触れ、「金融セクターでも同じようなルールを整備する必要がある」と述べた。同委員はさらに「加盟国の間で責任を分担する方法を探らなければならない」とし、整理基金の創設に際して金融機関に資金の拠出を求める意向を示した。

\

これに対し、英中銀・イングランド銀行のタッカー副総裁は「整理基金を機能させるためには1兆ユーロ規模の資金が必要になる」と指摘し、バルニエ委員の構想に対して懐疑的な見方を示した。また、英中銀金融政策委員会の元委員グッドハート氏は、銀行の破たん処理に関連した各国の国内法を調和させる前に整理基金を創設することは「本末転倒だ」と批判した。

\

一方、国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は、EUは国境を越えて活動する銀行の破たん処理を一括して行う新たな機関を設立する必要があるとの考えを示した。専務理事は関係国の意見調整がつかず、最終的にベルギー、オランダ、ルクセンブルクの国別業務に解体されたフォルティスの例を引き合いに出し、国ごとに手続きが異なる現行システムでは効率的に破たん処理を行うことができず、処理コストが必要以上に膨らむと指摘。破たん処理機関の運営費用は預金者保護の目的で金融機関が準備金として拠出する預金保険料と税金で賄うべきだと述べた。さらに欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は、銀行の破たん処理手続きを域内で調和させるため、EU共通のルールを定める必要があると指摘した。

\