2010/3/29

総合 –EUウオッチャー

首脳会議で新成長戦略を承認、教育・貧困対策は合意見送り

この記事の要約

EU加盟国は26日の首脳会議で、向こう10年間の新成長戦略「欧州 2020」を承認した。世界的な金融・経済危機を教訓に、加盟国が政策面で連携を強化して効率的に問題に対処し、域内経済の競争力強化や雇用の促進を図る。\ 「欧 […]

EU加盟国は26日の首脳会議で、向こう10年間の新成長戦略「欧州 2020」を承認した。世界的な金融・経済危機を教訓に、加盟国が政策面で連携を強化して効率的に問題に対処し、域内経済の競争力強化や雇用の促進を図る。

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「欧州 2020」は、EUを2010年までに世界で最も競争力のある経済圏に成長させることを目標に掲げた「リスボン戦略」に代わる新たな成長戦略。加盟国はEU全体で20年までに◇20-64歳の就業率を現在の69%から75%以上に引き上げる◇域内総生産(GDP)に占める研究・開発(R&D)投資の比率を現在の1.9%から3%に引き上げる◇ 再生可能エネルギーの普及促進やエネルギー効率の改善に取り組み、二酸化炭素(CO2)排出量を1990年比で20-30%削減する中期目標を確実に達成する――などの目標で合意した。加盟国の承認を受け、欧州委員会が国別の数値目標と達成期限の策定に着手する。

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一方、欧州委が今月初めに打ち出した原案には◇中等教育における離脱者の割合を現在の15%から10%以下に引き下げるとともに、30-34歳の層における大卒者の割合を現在の31%から40%以上に引き上げる◇現在約8,000万人に上る域内の貧困層を4分の3に減らす――という目標も盛り込まれていたが、一部の加盟国がEU共通の数値目標を設定することに難色を示し、今回は合意に至らなかった。ただ、各国ともEUレベルで教育および貧困対策への取り組みを強化する必要があるとの認識で一致しており、欧州委のバローゾ委員長は6月に開く首脳会議までの合意を目指して意見調整を進める方針を示している。

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