2010/3/22

産業・貿易

EUがクロマグロ禁輸否決に遺憾の意、ICCATでの漁獲枠削減を示唆

この記事の要約

カタールの首都ドーハで開催中のワシントン条約締約国会議(CITES)は18日、第1委員会で大西洋と地中海産クロマグロの国際取引を禁止するモナコの提案を反対多数で否決した。EUも移行期間を設けて来年5月から禁輸措置を実施す […]

カタールの首都ドーハで開催中のワシントン条約締約国会議(CITES)は18日、第1委員会で大西洋と地中海産クロマグロの国際取引を禁止するモナコの提案を反対多数で否決した。EUも移行期間を設けて来年5月から禁輸措置を実施するとした修正案を提出したが、同じく大差で否決された。今月に入り、EUや米国などが禁輸支持を正式に表明したことで、最大の消費国である日本は厳しい状況に追い込まれていたが、中東やアフリカ諸国などが禁輸反対に動き、形勢が逆転した。EU、モナコとも禁輸案の再提出などは行わないとみられ、25日の全体会合で禁輸否決が確定する見通しとなった。

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欧州委員会は18日、CITESの委員会でクロマグロの禁輸案が否決されたことに対し、「失望した」とする声明を発表した。欧州委の提案は「クロマグロと漁業者のための持続可能な未来に向けた力強い公約だった」とし、国際的な理解を得られなかった点について遺憾の意を表明。確実に大西洋・地中海産クロマグロの資源回復を図るには「厳しい措置」が必要だと確信していると強調し、「行動を起こさなければクロマグロが絶滅するという、極めて深刻な危機が生じる」と警告した。

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欧州委はそのうえで「EUは引き続きクロマグロの資源保護に取り組むと共に、持続可能な方法で水産資源が管理されるよう、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)が責任を持って適切な対策を講じているか注視していく」とし、11月に開かれるICCAT総会に向けてクロマグロの漁獲枠削減などを提案する可能性を示唆した。

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