2010/3/29

産業・貿易

EU・米が航空自由化協定の拡大で基本合意、外資の出資規制緩和へ

この記事の要約

EUと米国は25日、大西洋路線の自由化促進を目指す航空自由化(オープンスカイ)協定を拡大し、航空会社に対する外資の出資規制を緩和することなどで基本合意した。実現すれば双方の航空会社は相互に過半数株を取得できるようになり、 […]

EUと米国は25日、大西洋路線の自由化促進を目指す航空自由化(オープンスカイ)協定を拡大し、航空会社に対する外資の出資規制を緩和することなどで基本合意した。実現すれば双方の航空会社は相互に過半数株を取得できるようになり、米欧の航空業界で再編が進む可能性がある。正式合意には米議会、欧州議会とEU運輸相理事会の承認が必要となる。

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EUと米国は2007年、それまでEU加盟国と米国が個別に結んでいた2国間協定に代わるオープンスカイ協定に合意。欧米の航空会社はEU域内と米国を結ぶ路線を原則として自由に開設できるようになった。しかし、EUが求めていた航空会社の出資規制緩和については、外資による自国企業の買収を警戒する米議会の反発などで合意に至らず、08年3月の協定発効後にEU・米間で第2段階の自由化に向けた交渉が進められていた。

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現在は航空会社に対する外資の出資上限は米国が議決権の25%、EUが49%に制限されているが、今回の合意により、相互に過半出資が可能になる。欧州委員会のカラス委員(運輸担当)は「外資に対する出資制限の緩和に向けたプロセスで合意することができた」と述べ、自由化交渉の成果を強調した。しかし、米側の交渉責任者である国務省のジョン・バイアリー運輸担当副次官補は、出資規制について「必要条件もスケジュールも決まっていない」と発言。米国は出資上限の変更に関して「何も公約していない」と強調し、議会の反応を考慮して慎重な姿勢を示した。

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欧州委によると、双方はこのほか、テロ防止のための安全対策や航空管制などの分野で協力関係を強化することや、温暖化対策や空港周辺の騒音対策をはじめとする環境面で効率的かつ有効な規制を実現するため、統一基準の導入を検討することなどで合意した。

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