2010/4/12

総合 –EUウオッチャー

「欧州市民イニシアチブ」法案発表、市民の政策決定参加を促進

この記事の要約

欧州委は3月31日、域内の市民がより積極的にEUの政策決定に参加することを可能にする「欧州市民イニシアチブ」制度に関する法案を提示した。昨年12月に発効したリスボン条約に基づくもので、これまで「非公開の政府間取引」で決め […]

欧州委は3月31日、域内の市民がより積極的にEUの政策決定に参加することを可能にする「欧州市民イニシアチブ」制度に関する法案を提示した。昨年12月に発効したリスボン条約に基づくもので、これまで「非公開の政府間取引」で決められることが多すぎると批判されてきたEUの政策決定の過程に、市民の声を直接反映させることが主な狙いだ。欧州理事会ならびに欧州議会の承認を得れば、年内にも施行されることになる。

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法案は、欧州委が立法権限を持つ分野における問題について、市民からの直接の提案を認める内容。少なくとも加盟国の3分の1から合計100万人の署名が集まれば、欧州委はその問題に対応するための法案作成を検討しなければならない。署名集めに認められる期間は1年間となる。また、3カ国から30万人以上の署名が集まった時点から4か月以内に、欧州委は提案が法案作成に妥当なものであるか否かの判断とその根拠を示すことになる。

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署名はインターネット上でも集めることが可能とされており、フェースブックやツィッターなどのソーシャルネットワーキングサービスの利用も認められる。ただ、これについては不正防止方法に関する懸念が指摘されており、慎重な検討が必要とされている。

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法案の取りまとめにあたり欧州委は昨年11月、一般市民の意見を聞いた。その際に寄せられた330件の回答や、今年2月に開催した公聴会での市民の声も法案に反映されているという。

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